【陰キャな私】第1話:私のうしろ

【シリーズ】陰キャな私

つい1時間前までは、夏の暑い日差しが教室の窓から差し込んでいた。

それがどうだ。

どんよりとした厚く積み上げられた雲は、その日差しを遮り、

今すぐにでも激しい雨と雷を地面に打ち付けそうな気配をみせる。

教室の中では、各集団が楽しそうな声や、コソコソ話しで盛り上がっている。

私と同じ、中学2年生の女の子であれば、気になる男子がいたり、

趣味や部活に没頭したり・・・。

それぞれがこの「思春期」と呼ばれる時間を謳歌するのだろう。

没頭することがあるからこそ、ひとつひとつの会話で盛り上がることができる。

小学生の時に仲の良かったゆいは、陸上部の活動を頑張っている。

3年生引退後の、最初の大会を近日中に控え、

陸上部の新エースとして励んでいるようだ。

みんながそれぞれに、何かに熱中している。

そんな私でも・・・・ある人のことが気になっている。

最近ではその人のことばかりを考え、悩んでいる。

でも、こんなものを他の人のように思春期の悩みと呼んでも良いものだろうか。

私が怪しげな視線に気づいたのは2か月前のことだった。

授業で音楽室へ向かう途中のこと。

私はいつものように、一人で、とぼとぼと歩いている。

クラスメイト達はそれぞれ、仲のいい子たちと談笑しながら歩みを進める。

陰キャでコミュ障の私には、このクラスに友達はいない。

と言っても、他のクラス生徒を含めても、

幼馴染のゆい以外に私が会話ができる人はいない。

笑いながら会話をするクラスメイト達がうらやましかったが、

それを表情に出すことも怖かった。

「陰キャのブスが何のようだ。うざいんだよ」と思われてそうで。

みんなが教室を出た後、集団の最後尾から少し離れた後ろを歩いていた。

みんなから存在を悟られたくないため、移動教室の時、

私はいつも最後に教室を出ていた。

??

この日もいつものように、最後に教室を出たはず。

3階にある音楽室。階段に向かう私は、背後に人の気配を感じた。

私の後ろには同じクラスの山田君がいた。

イケメンと噂され、背も高い。それでいてヒョロいわけでもなく、

制服の腕をめくれば、男らしい筋肉の筋がかっこよくあらわれる。

多くの女子からも人気の彼。

クラス内で陽キャ男子の中心メンバーである彼が、ひとりで音楽室に向かっている。

「忘れ物でもしてたのかな?」

そんなことを思いながら私も残りの階段を登る。

階段の中腹に差し掛かったころだ。

???

下からの視線を感じた。

思わず歩みを止めて、階段の下を見る。

目が合う。

あの人はギョッとしていたように見えた。

・・・?

何を驚いているのだろうか。

そして、なぜあの人も歩みを止めるのだろうか?

わからないまま、その日を終えた。

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