子どもじゃないもん

パンチラ(単発)小説

「おい、ひろ?どうしたお前」

長いようで短い夏休みを終えて、いよいよ始業式を迎えた。今日から2学期が始まる。

久しぶりに登校した教室で、たかし君が驚いて僕に話しかけた。

夏休みを終え、僕の肌は真っ黒に焼けていた。でも、僕の変化はそれだけではなかった。

今年の夏休みは本当に暑かった。

プールでもたくさん遊んだため、肌が真っ黒に焼けたが、予定がない日は一日中冷房の効いた部屋で過ごし、毎日何杯ものジュースを飲んでいた。
気がつけば大量の脂肪を蓄えて、ワンサイズ大きめの服が必要になっていた。

正真正銘のおデブだ。

自分でもお腹に段ができていることがわかる。

始業式を行う体育館へ向かうため、廊下に並ぶよう号令がかかる。

「おい、行くぞ、デブ」

たくや君が僕をイジッてくる。

「おデブ・おデブ・おデブデブデブデブ~♪」

たくや君のデブいじりの直後に、変な歌とステップを踏みながら廊下へ向かう僕。

教室中が笑いに包まれる。
我ながら上手な返しができたと思う。
なにか異変があったら、たくや君のようにイジッてくる人間はどの世界にもいる。

それをイチイチ真剣に返事をしていては心が持たないし、無視でもしようものなら、いじめにも発展しかねない。
そんな年頃だ。
こうやって相手にノリを合わせた対応をし、笑いに変えるのが一番だ。
・・・めぐみさん、見てるか?こうすれば大丈夫なんだよ・・・
本人を見ないまま、心の中でつぶやいた。

始業式が始まり、僕らは体育館の床に座った。
女子の列に目を配る。

りなちゃん・・・??

目を疑った。

1学期。

クラスの女子の中でもとりわけ無防備でパンチラクイーンだったりなちゃん。
ところかまわずしゃがんだり、今日のように集会があるときはきちんと体育座りをする。

そのたびに、スカートの中は丸見えとなり、白やハート柄のパンツ、水玉やボーダーのパンツをなんども披露してきた。

男子の中には
「今日のりなパン」
というノートをつくり、記録をつけていたものもいるほど、毎日のようにクラスの男子にパンチラを提供してくれていた。

ひと夏を超え、りなちゃんに変化が生じていた。

体育館床に座った彼女のスカート中からは、いつものようなパンツではなく

体操服の短パンが見えた。

ついに、りなちゃんもか。

5年生になり、女の子たちは徐々にではあったが、スカートの下に短パンなどを履く子が増えてきた。
パンチラを見れる機会は4年生までと比べると格段に減っていた。
そして、その波はとうとうパンチラクイーンのりなちゃんにまで及んだ。

「おい、りなが短パン履いてるぞ」

後ろに座っているたくや君が小さい声で僕に話しかける。たくや君も僕と同じで女子のパンチラが好きだ。
いじりキャラの彼と僕が仲良くできたのは、僕ら二人の間に、パンチラ好きという共通の趣味があったからだ。
僕もたくや君も、想定外のできごとに消沈した。

幸先の悪い2学期のスタートとなった。

始業式が終わり、教室へと戻る廊下で、僕とたくや君が落胆の会話を交わす。

「始業式だから、絶対りなのパンツが見れると思ったのに・・」

2人でそんな会話をしながら教室に戻る。

「こうなったら・・・・」

たくや君が歩くペースをあげて、前を歩く子たちを追い抜いていく。
ある女の子の背後についた。
そして、その女の子のスカートを思いっきりまくった。
急なことに驚いていたが、女の子は慌ててスカートを押さえる。
だが、すでに後ろにいた僕たちに、彼女のスカートの中は丸見えだった。

「めぐみのパンツはお子さまパンツ~」

たくや君が囃し立てた。

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5月のとある昼休みのことだった。

教室の窓から外を眺めている女の子の背後に、しゃがみこんだ拓也くんが近づいた。

その体勢のまま勢いよくスカートをめくり、一番高い位置でスカート掴んだまま腕を止めた。

女の子は驚いて、固まってしまい、数秒間スカートの中が丸見えとなった。
しっかりとお尻を覆っていたその布は真っ白で、お尻の真ん中には、可愛いクマが描かれている。

僕は驚いた。

そして、スカートめくりをした張本人もびっくりしていた。
パンチラ大好き人間の僕は、女の子のパンツが見えないか、常にアンテナを張って学校生活を送っていた。
その甲斐もあって、たくさん女の子のパンチラを目撃してきた。
2年生くらいまでは可愛いキャラクターがプリントされたパンツを履く子もいたが、「ダサい」「こどもっぽい」と感じて、そのようなパンツは履かなくなる。
何もイラストされていない無地のパンツや、星やハート、アルファベットといったシンプルなプリントのパンツが増える。

男子だってそうだ。
戦隊ヒーローのイラストやアニメの人気キャラが描かれたブリーフは、年齢を重ねるにつれて子どもっぽいと感じるようになり、履かなくなる。
無地のパンツになったり、トランクスやボクサーパンツに変わっていく。

女子よりも羞恥感情の薄い男子ですら、そのように思うのだ。

5年生にもなってクマやウサギの可愛いパンツを履いている女の子がいるなんて想像もしなかった。

「めぐみのパンツはお子さまパンツ~」

たくや君が教室中に聞こえる声をあげる。

スカートめくりの瞬間を目撃していなかった子たちにも
「めぐみってクマのパンツ履いてるんだぜ~」
と詳細を説明してしまう。

めぐみさんは顔を真っ赤にして、何も言い返せないでいる。
もともと、積極的に発言するような子ではない。
突然スカートをめくられ、パンツの全貌を見られたうえにバカにされる。
もう、何が何だかわからない状態だろう。

ただただ、驚き、恥ずかしい。

それしか思えなかったのだろう。

終いには、めぐみさんの目には涙が溜まっていた。

だが、それが間違えだった。
言い返したり、先生に告げたり・・・めぐみさんは、反発しなくてはいけなかった。

その日から、本来いじられキャラでもないはずのめぐみさんは、たくや君を中心に

「今日はうさぎのパンツか?」

「ひよこかな?」

など、毎日のようにパンツについていじられるようになった。
スカートをめくられたのはあの1回限りだったが、彼女は何も言い返せず、うつむいたままやり過ごしていた。

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「めぐみのパンツはお子さまパンツ~」

めぐみさんの背後でスカートを豪快にめくったたくや君の声が廊下に響く。

だが、実態は異なっていた。

いま、たくや君にめくられたスカートからは、

白と黒のボーダー柄のパンツが現れた。

キャラクターや動物はどこにもプリントされていないシンプルなパンツ。

めぐみさんが振り返り、たくや君を睨みつける。

「子どもじゃないもん!」

大きい声ではないが、強い眼差しとともに発せられた声に、たくや君がたじろぐ。

相手のノリに合わせることだけではない。

嫌なことにはしっかりと嫌だと伝える。

それだって大切なことかもしれない。

めぐみさんはひと夏を超えて、言い返す度胸を身につけていた。

彼女はもう、子どもじゃなかった。

動物にお尻を守られる、か弱い女の子は過去の姿となっていた。

その1件以来、めぐみさんから弱気な雰囲気は消えていた。
自分の考えを述べるようになったり、グループワークにも積極的に参加するようになった。

だが、めぐみさんは少しズレていた。

他の女の子は大人になっていくにつれて、パンツを見られないよう、短パンやスパッツを履くなどの努力をするが・・・

彼女のとった大人への道は、見られても恥ずかしくないパンツにすることだった。

ノーガード戦法を貫いていただけでなく、行動までもが積極的になっためぐみさんは、ことあるごとに男子に
ハート柄や、
グレーのシンプルなものなど、
多くのパンチラを提供し、

「今日のめぐパン」

というノートを作られるようになっていた。

りなちゃんのパンチラはレアなものになったが、僕のクラスには新たなパンチラクイーンが爆誕していた。

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