「やばくない?マジで見んなよって話しじゃん」
ただ声がでかいのか、それともわざと聞こえるように言っているのか。
ただ周りを見渡した時に少し目が合っただけだ。
それなのに、ミツキたちは仲間内で僕宛の嫌味を語る。
中学に入学して間もないころだった。
たまたま教室の入り口で出合い頭にぶつかっただけ。たったそれだけのことで、それ以降ミツキは僕を敵視するようになる。
ミツキは中学入学直後からすでに噂となるような子だった。服装などはきちんとしており、一見清楚な女の子に見えるため、表向きに目立ってはいない。
だがミツキたちは徒党を組んで、大人しい山下さんににちょっかいをかけたり、上履きを隠したり、本人に聞こえるような陰口であることないこと喧伝活動を行う。
ひどいときにはやってもいないのに、
「哲也が藤田さんのペンを盗ってました」
と教員に告げ口する始末。
もちろん隠したのはミツキグループだが、藤田さんのペンは僕の筆箱に入れられていた。
幸い、僕は藤田さんとは普段から仲良く接していたので、教員の前で彼女は僕を擁護してくれた。
でも、教員からは
「疑われるような振る舞いは慎め」
と、なにをどう気をつけたら良いのかわからない注意を受ける羽目になった。
クラスメイトの大半はそんなミツキグループのことを快く思っていない。
そのため勢力が拡大していくことはなく、僕に対して同情の目を向けてくれる子も男女問わずに存在してくれていた。
そんな状況がおもしろくなかったのか。
夏休みが明けて数日後、ミツキグループから放課後に呼び出しを受けた。
体育館の隣りにあるトイレの裏。
これ以上、やってもいないような悪さを押し付けられるのはごめんだ。
向こうのご注文通り、僕はひとりで決戦の場に向かった。
「おまえ、ほんとうにうざいんだよ」
僕の姿を見るなり、ミツキの隣りにいたヒロミが大きな声で僕に言葉をぶつける。
「ちょっとヒロミ、声でかい。他の人が来ちゃうよ」
制したのはリノだ。
そして、ふたりに挟まれた中央にはミツキ。
堂々と腕を組んで見下すような目で僕を見る。
「お前さ、なんで呼ばれたかわかってるよな?」
上から目線でミツキが口をひらく。
「君のわがままに付き合う気はない。
これ以上、僕や山下さん、藤田さんに対する陰湿な言動を控えて欲しい。
そのことを伝えるために来たまでだ」
冷静に返事をする僕に、
「そういう大人ぶった態度がムカつくんだよ!!」
声のでかいヒロミが荒ぶる。
「そう言われてもこれは僕自身の人格のようなものだ。そんなもんだと受け入れて欲しいくらいだ。ところで、ムカついたから何をするというのだ?」
「お前、ほんとにムカつく!言ってわかんねぇなら・・・」
「こうだよ!とでも言って殴ったりでもするのか?」
「・・・てめぇ!」
そこから先は、血気盛んなヒロミによる、殴る蹴るの暴行だった。
その様子をミツキとリノがニヤニヤと見ている。
無論、僕は抵抗しない。
ここまでか・・・。
そう思った。
一方的な暴力が落ち着いたところで、ミツキが僕の目の前に立った。
「このこと、言うんじゃねぇぞ」
そう言葉を残し、彼女たちは僕の前から去っていった。
ここまで・・・うまくいくとはな・・・
腫らした顔で僕は空を仰いだ。
夕焼けが差し込み始めた空は、秋の空にしては珍しく雲一つ見えなかった。
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小学5年生のころだった。
隣りのクラスにいた山下さんがいじめられているという話を聞いた。そのときは違うクラスになってしまっていたけど、小学校入学時から4年生のころまで、山下さんは私とよく遊んでくれた。
何をやっても不器用で、なにも上手にできない私のそばにいてくれた。
そんな彼女を守ってあげたかったけど、当時背が低くて力のない私にはそれは出来なかった。
でも、去年1年間で成長期を迎えた体は大きくなった。
それにつれて、どうすれば山下さんを守ってあげられるのかももっと真剣に考えるようになった。
私が・・・・力を持てば。
体力だけじゃない。
権力のような力を持てば・・・。
威圧できるような力を持てば・・・。
中学に進学すると、山下さんとまた同じクラスになった。
そして、いじめの首謀者とも。
私の計画が動き出した。
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ヒロミの両親が学校に呼び出されたのは、トイレ裏での暴力事件の3日後だった。
担任だけでなく、学年主任や教頭、校長先生までも並んだ会議室にヒロミとその両親は通された。
会議室のモニターには、ヒロミが山下さんに暴言を吐く姿、藤田さんの筆箱からペンを盗み出し、僕の筆箱へ移し替える姿、そして、僕へ暴力をふるう映像が映し出される。ミツキから協力要請を受けていたリノがこれまでに撮りためていた映像はすべてヒロミの単独行動のように編集されていたらしい。
編集は藤田さんが担当した。
ここは公立の中学校。
義務教育下では停学や退学といった処分は下らない。
ヒロミには毎朝の清掃活動と反省文、そして保護者同伴による謝罪を教員仲介のもと山下家・藤田家・そしてわが家に行う処分が下された。
翌日以降、ヒロミは教室の中で孤立した。
彼女に味方はいなかった。
彼女が味方と思っていた人物は、最初から彼女の敵だった。
孤立した彼女は、以前のように語気を荒げたり誰かをバカにするようなことはなくなり、教室でただただ一人の時間を過ごすようになっていた。
変わったのはヒロミだけではなかった。
ミツキとリノは、言葉づかいも柔らかくなり、以前のように「お前」や「○○だろう」など乱暴な言葉を発することがなくなった。
もともと、そんな言葉を使うような人間ではなかったようだが、見た目通り清楚で可憐な女の子になった。
あの日のことを思い出した。
「ちょっと来い」
ぶつかったあの日、僕はミツキに手を引かれ、誰もいない音楽室に連れていかれた。
入室し、扉のカギをしめた彼女。
「ごめん、急にこんなことしちゃって」
彼女の急変に驚いたが、そこで彼女は自身のこと、山下さんとヒロミの関係について話してくれた。
ミツキグループと僕らは呼んでいたが、その実はヒロミを中心としていたらしい。
万が一、悪事が表に出た時のためにミツキが表向きにリーダーのように扱われていたと知った時には、女子とは大変に恐ろしいものだと思った。
加えて、ミツキがそれを利用してヒロミを貶めようと計画していることを聞かされた時には、寒気すらも覚えた。
リノは当然のこと、いじめに遭っているはずの山下さんや藤田さんもミツキに協力していることを明かし、僕にも協力要請をしていた。
あの日のことを思い出した僕は、熱が残ったまま彼女に近づく。
「ミツキさん。ちょっといいかな?」
「・・・・うん」
彼女を呼び出し、放課後には我が家に来てもらった。
自室に通すと、少し落ち着かないような、緊張したようなミツキがいる。
「計画に協力した見返りをもらおうと思ってるんだが、 その様子だと、察してはいるようだね」
「・・・うん。
でも・・・今日はちょっと・・・・
明日!!
明日なら必ず・・・・」
「それだと自然体を楽しめないだろう。
そのためのものを準備するかも知れない。
僕はあくまでも自然体の君が見たい。
だから協力したんだ。約束だろ?」
「・・・・わかった」
ミツキがスカートの中に両手を突っ込む。
スカートからは彼女が履いていた短パンがスッと落ちてきた。
「さぁ、頼んだよ」
「あんまり・・・まじまじと見ないでね」
彼女は目を閉じて、自らの手でスカートを思いっきりめくりあげた。
白い綿の生地には、小さなピンクの水玉が散らばる。
さらに、フロントにはこれまたピンク色の小さなリボン。
清楚で可憐なミツキの履いているパンツは、あまりにも可愛いものだった。
「いつまで・・・こうしてればいいの?」
「良いというまではそのまま頼む」
目を閉じたまま質問してきたミツキを前にして、カメラアプリを起動したスマホを向けた。
カシャ
「ちょっと!?何してるの」
撮影ボタンを押した音に驚き、目を開く。
めくりあげたスカートから手を離すミツキ。
「今度は君が悪さをしないためだよ。
ほら、スカートを掴んで」
「でも、それは・・・」
「さぁ」
有無を言わさない僕の態度。
ミツキは観念した。
カシャ
カシャ
最後には目を閉じて真っ赤にした顔も撮影した。
「こんな姿・・・・
哲也くんにしか見せてないんだからね」
「じゃあ、今後も僕にだけ見せればいい」
「?」
「本当に嫌ならば、何が何でも抵抗したはずだろう。でも君はそうしなかった。
自分でも無自覚のうちに、何か特別な感情を覚えているのではないのかい?」
「そ・・・そんなことは」
「そうか。では、言葉を変えよう。今後その姿を見せるのは僕だけにしてくれ」
「・・・・・・」
“君の計画に合わせるとなると、僕はケガをする可能性もある。見返りを求めてもいいか?”
あの日の音楽室での約束は果たされた。
ミツキが僕の部屋を訪ねるのは今日で20回目の記念日だ。
「新しいの・・・買ってもらったんだ・・・
今日、それ着てるの・・・」
少し恥ずかしそうに
だが、どこか嬉しそうにミツキは語る。
ミツキの所持するすべての下着写真が、
僕のスマホ内のデータフォルダに格納されている。
新しいものが増えるのは喜ばしいことだ。
“お付き合い”
とは一風変わった関係はこのあとも継続していく。
ヒロミの策略を利用したミツキ。
ミツキの計画を利用した僕。
僕の計画により何かに目覚めたミツキ。
本当の勝者は誰なのだろう。
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