“日本一安心して子どもが育つ町”
をスローガン掲げたのは15年も前のことだと聞いた。ただでさえ田畑が多く、きれいな川が流れるようなこの町は、部外者から見れば“町?村じゃない?”と思わるるほど。
加えて全国的にも問題となる地方の人口流出は、この町でも問題となっていた。かつては5万人近い人口にもなったが急速に減っていき、今では2万人にも満たない。
この町が同じ悩みを抱える他の町と違ったのはスピード感だった。
大企業に呼びかけて工場を誘致したり、町民会館や図書館と言った公営施設内にカフェやアミューズメントエリアを設置して憩いの場になるように画策した。
町立の公園も古びたブランコなどを撤去し、安全な設計なものにした。遊具の配置もベンチに座る保護者の目が届くように改められた。幼稚園などの保育施設や塾なども誘致し、安心して子育てができる町を目指した。最近ではプロサッカーチームの練習場移転に向けて動いており、併せて小学生向けのスポーツクラブを新設し、専用のグランドや体育館も作る予定だという。
と、ここまでは、2年前まで通っていた中学で社会科の授業のときに教わったことだ。
みなさんも経験があると思うが、中学の社会の授業では高校入試とは関係のない地元の町の歴史や文化を学ぶ時間がある。入試には関係のないことだとわかっているため、なんとなくでしか話を聞いていなかったが、わずかな10余年というわずかな期間であっても町の発展と衰退があるんだなと少し寂しい気持ちになりながら、国語の時間にならった平家物語の冒頭を思い出していた。
だが、その衰退も町長さんや町議員の方の努力もあって解消されて良き、年々移民者は増え、少しずつ活気がでていた。
ただ一つ、問題を抱えている施設がある。
大都会へと向かうために利用される町の唯一の駅舎。昔ながらのつくりであり、しかも小規模。人口が増えてきたことから町としても改修を考えているが、私鉄であるため、関係各社との調整が難しくなっていた。
田舎なので車社会ではあるが、僕らのような鉄道ユーザーはグラウンドや体育館よりも先に駅を改修してほしいと切に願っていた。
そんな駅舎がとうとう改修される決議がなされたとニュースになった。
理由は老朽化と時代に沿ったニーズ、バリアフリーなどと言われている。
だが、僕は本当の理由を知っていた。
あの日。
急な腹痛により、僕は長い時間トイレで過ごしていた。乗る予定だった電車はとっくに出発してしまっていた。
もう大丈夫。そう思ったとたんに次の波が訪れ、便座から立ち上がることが許されない。この苦痛はいつまで続くことか。扉の向こうから電車が走り込んでくる音が聞こえてきた。この電車にも乗れないのか。
もう、高校には今日は欠席だと連絡した方がいいのだろうか。
そう思っていた時だった。
ドンドン
僕が立てこもっているトイレのドアが激しく叩かれた。
・・・入ってます
僕だってトイレからは一刻も早く出ていきたかった。でも、この体がそれを許さなかった。すまない、外の人。
だが、外の人は諦めなかった。
30秒ほど経つと、再び激しいノック。
「まだですか?」
強い語気。
声の主は若い女性のようだ。
もう少し・・・・もう少しだけ待ってくれ。
ドンドン
強いノックは続く。
「お願い、はやく・・・」
外からの懇願が届いたのか、自分の腹部の痛みが少し和らいだように感じていた。
外の人のために、急いでお尻を綺麗にして身なりを整えてトイレの扉を開けた。
トイレの前には、スカートを短くして、茶髪をくるくると巻いている女子高生が、スカートの上から女の子の秘部を押さえて立っていた。
彼女の目は遠くを見ており、若干口が空いている。
「あ!?」
と言っているようだった。
彼女の足元にはどんどん水たまりが広がっていく。
紺のソックスもどんどん濡れていく。
僕がトイレから出てこれず、トイレを目の前にして女子高生は我慢の限界を迎えてしまっていた。
僕の目の前でおしっこおもらしをする女子高生。
自分自身、何が起きているのかわかっていないかのようだった。
「・・・・ごめんなさい」
小さい声で、何に対してかわからない謝罪をした彼女は、ものすごいスピードでトイレに駆け込んでいった。
ごめんなさいは・・・・僕の方だよ、春奈さん。
押元 春奈
彼女は有名人だった。
僕らがまだ小学生になる前から、彼女のおじいさんはこの町の町長としてその辣腕をふるっていた。大手企業と公営施設をタイアップさせる案などは、彼女のおじいさんの提言とも聞いている。
僕の1つ年上で、今年高3生になるため学年は違うが、町長という有名人の身内を持つ彼女だって、僕のようなイチ町民らからすれば有名人だった。
だからこそ、春奈さんは誰よりも見た目なんかにも気を使っていたのだろう。
どんなコミュニティに所属しても中心人物になれるように、陽キャとしての振る舞う努力をしていた。
それなのに・・・春奈さんは高校へ向かう電車に乗り込むことを諦めるほどに我慢をしていた。寝坊して朝イチのトイレを済ますことができなかったのかもしれない。
事情はわからないが、彼女は家でトイレを済ませず、その結果駅のトイレにも間に合わなかった。
だが・・・
他人事ではなかった。
目の前で起きた有名な女子高生のおもらしにあっけにとられたが、トイレを出てすぐ僕の腹部はまた痛みを覚えていた。
やっと動けると思った。
だが、この場を離れると次のトイレまで我慢できるとは思えない。
春奈さん・・・さっきはごめんなさい。
早く・・・
早く出て・・・・
なぜ僕も春奈さんも苦しんでるのか。
その理由は古い駅舎にある。
人口がまだ増える前に建てられた駅舎は無人駅を想定しており、各設備も少人数が利用することを前提に建てられている。
そんな駅のトイレは、男女兼用の個室が1つ設置されているだけだった。
悪いと思ってる。
僕が籠っていたせいで、女子高生にはあるまじき失敗をしてしまったのだから。
でも、僕だってやばいんだ。
早く・・・早く・・・・
数分経っても彼女は出てこない。
なかなか出てこないことで、僕は危機感を募らせた。
ドンドン
気持ちが焦り、ノックをしてしまった。
「早く・・・お願い・・・」
彼女はまだ出てこない。
そんな・・・そんな・・・
ガチャ。
扉が開いた。
真っ赤な顔をした女子高生は目を合わせようとしてなかった。
だが、彼女が真っ赤にしていた目はすぐに大きく見開かれた。
ブボっ・・・ブボボボボッ!
激しい爆発音とともに、あたりに異臭が立ち込める。
同時に僕の足元からも
べちゃ・・・ボト
といった音が聞こえる。
トランクスと学生ズボンでは支えられたなかった汚物が足元に落ちる。
古い駅舎には、おしっこを漏らした女の子と、うんちを漏らした男の子という、
“おもらし”という失敗をしてはならない年頃の高校生が二人もいた。
ピンポーン。
家のインターフォンが鳴る。
たまたま家にいた僕が出ると、お隣りのおばさんが回覧板を運んできた。
回覧板には新駅舎の完成予定図が掲載されていた。
駅舎は2階建、これまで1台しかなかった自動改札機は3台となり、券売機兼チャージ機も倍増する。
そして、トイレは男女別々として設置され、個室や男性用の小便器も複数設置される。
「・・・・もっと早く・・・こうなって欲しかったね」
僕の隣りで彼女が少し悲しそうにつぶやいた。
「そうだね。でも、だから今の僕たちがあるんじゃない?」
「そうだけど・・・恥ずかしいのは嫌なの」
「・・・でも、春奈・・・可愛かったよ?」
「・・・・まーくんも」
あの時の恥ずかしかったことは僕らに克明に刻まれた。
だが、同じ境遇を経験したからか、お互い気を惹かれるところを感じ、
時間を共にするようになった。
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