影響力

おもらし小説

約3年間、通い慣れた中学の教室。
高校入試を直前に控え、生徒たちは最後の実力考査を受けている。
生徒たちが静かに着席する教室の中で、中央列の先頭席に座る真美子は頭を悩ませていた。

今回の試験の結果で志望校を変更するというわけではない。だが、入試直前の最後の試験だ。大切な練習試合となる最後の機会を無駄にしてはならない。その考えに支配され、必死になって尿意と闘っていた。

試験時間は各教科70分。
いま受けている理科の試験が始まってから40分が経過している。幸いなことに真美子は理科が得意だったため、解答欄はすでに9割近く埋まっている。だが、真美子のように理科が得意な生徒はスラスラ回答欄を埋めていくが、そうでもない子は何度も手が止まってしまうようなひと捻り加わった癖の強い問題だった。そんな中で途中離席してしまうと、必死で考えを巡らせる子たちの邪魔になってしまうかもしれない。
日ごろから周囲の子に気づかいができる性格も、真美子がトイレに向かうことを躊躇させる要因となっていた。

“あと30分。たったあと30分我慢すれば・・・”

物心ついたころから真美子は排泄の失敗とは無縁の生活を過ごしてきた。
幼稚園に通っていたころや、小学校の低学年のころは同級生の中にも排泄の失敗をする子は数人見かけてきた。だが、小学3年生のときに、同級生の男の子が大きい方を漏らしてしまったのを目撃して以降はそのような場面に出くわすことはなかった。
歳を重ねて成長していくことで膀胱の許容量は大きくなり、また、我慢する上での筋力も発達する。
当然それまでの成長過程で「排泄の失敗というのは恥ずかしいもの」という認識も当然強化されるため、ある程度の年齢になるころには誰もが失敗をしないように事前に回避策を講じている。
もう数か月もすれば高校生となる真美子にとって、排泄の失敗というものは、自他ともに起こりうるはずのないことだった。

真美子の斜め後ろに座っている健一が真美子の様子がおかしいことに気がついたのは試験が始まって15分が過ぎたころだった。寝坊や忘れ物が頻発する健一は何度も同じ失敗を繰り返してしまう自分のことが嫌いだった。そして、いつも真面目で、授業を受けるときも廊下を歩くときも背筋をピンと伸ばしている真美子には憧れていた。

自分も真美子のようにしっかりした人になりたい。そう思っていた。その気持ちは次第に変化し、気が付けば無意識のうちに真美子の姿を目で追ってしまうことが増えた。憧れだった気持ちは、いつしか恋心と呼ぶ方が良いのかと自問自答するように変化していた。

ずっと真美子を見てきた健一だからすぐに気づいた。さっきからしきりに足を前後に組み替えている。少し前かがみになっている姿勢は試験問題に集中していることが理由とも考えられるが、ちょっとずつ前後・左右への方の揺れ幅が広がっているのは、落ち着いていられない証拠にも思えてきた。試験がはじまって30分が経過するころには、いよいよその揺れや足の組み換えが止まることはなくなっていた。

“真美子・・・やっぱりトイレに行きたいんだろうな・・・。 それも・・・かなり我慢してるはずだ”

試験が始まって40分が経過した。
あまり理科が得意ではない健一は、まだ4割ほど空欄となっている。
だが、それでも問題に集中することができなかった。
落ち着かない真美子の体は、明らかにおしっこを我慢しているときのそれであり、健一が何度も見覚えのある姿でもあった。

健一にはすみれという同級生の幼馴染がいた。明るくて、しっかりしていて、抜けたところのある健一に対しても面倒見がよくて。同い年でありながら、とても頼れる存在であり、また初恋の相手でもあった。
そんなすみれだが、人よりもおしっこを我慢できないという欠点があった。
そのため、小さいころからすみれがおもらしをしてしまう姿を何度も目撃してきた。
すみれの姿から、客観的なおしっこ我慢の姿を学んでいた。
すみれのおもらしはいずれも健一や家族といるときに限った場でのおもらしであったが、最悪の事態は5年生のときに訪れた。
授業中のシンと静まった教室の中。とうとうすみれが僕や家族以外の前でおもらしをした。小5という年齢だったからか、騒ぎ立てるような子はいなかったが、それでも陰口が叩かれるようなり、いつしかすみれは学校に来れなくなってしまった。そんなすみれのことを思った両親は、誰も知らないところでやりなおそうとして、中学進学を機に引っ越してしまっていた。

真美子は・・・あのとき、静まり返った教室で必死に尿意に耐えていたすみれの姿と同じだった。

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“くそっ!俺のせいだ!いったいどうすれば・・・”

教卓の隣りに置いた椅子に腰をかけ、試験監督をしている浩平は自らの軽はずみな言動を後悔した。
1時間目の試験が終わった時、教卓の目の前に座っていた真美子は答案を出席番号順に整理する浩平を手伝ってくれた。
教師になって5年目。それなりの経験はしてきたが、それでもまだ自分は青かった。
目立つことを好むタイプではないが、何事にもいつも真面目に取り組み、クラスの和も乱さないように努めてくれる真美子のことは、担任である浩平も頼りにしていた。
だからつい、甘えてしまった。

「お、手伝ってくれてありがとうな」

2時間目の試験が終わり、席を立った瞬間の真美子に声をかけた。この時間も手伝ってくれるのだろうと思った。
だが、それが間違っていたというのは今ならばよくわかる。
その姿は、先週参加したとあるセミナーの出席者と酷似していた。

教師という仕事に限界を感じていた浩平は、転職セミナーに参加した。隣りに座っていたのは自分と同じくらいの年齢の女性だった。
グレーのパンツスーツを着こなして机のうえでPCを素早く打ち込んでいく姿はとてもカッコよかった。そんな女性だったが、セミナーが終盤に差し掛かったころ、キーボードを打ち込む手は止まり、落ち着きのない様子で体を揺らしながら何度も腕時計に目をやっていた。セミナーが終わると女性は忽然と姿を消した。
講師に質問したいことがあったため、浩平は質問待ちの列に並んだ。質問の回答を得て荷物を整えようと自席に戻ると、時を同じくして女性も戻ってきた。

そそくさと荷物をまとめて部屋の出口に向かった女性。グレーのパンツスーツは、お尻から太もも、ふくらはぎ、裾にまでぐっしょりと濡れた跡が残っていた。
あの時の女性と同じように、落ち着きなく前後左右に揺れながら座る仕草を、いま目の前で真美子がとっている。
真美子を、自分の大切な生徒を、あの女性のように恥ずかしい目に合わせてはならない。
だが、どう対処したらいいのかわからない。
声をかけるべきなのか。
こっそり連れ出すべきなのか。
いずれにしても一番目立つ席に座っている真美子に羞恥心を与えるものかもしれない。

どうすれば・・・どうすれば・・・。

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“あれって・・・絶対におしっこ我慢してる”

直感ではあるが一度抱いた思考はロックされて、亜美の心臓を高鳴らせていた。

“あのまみちゃんが・・・しっかりもののまみちゃんが・・・”

それを初めて目撃したのは小学2年生の時だった。
仲の良かった同級生の綾音と一緒に遊んでいた公園は、隣りの雑木林に隣接していて少し不気味な雰囲気を醸し出す。好奇心旺盛だったふたりは怖いもの見たさで一緒に雑木林に踏み込んだ。薄暗い林道は、鳥の羽音や風で揺らぐ枝葉の音すらも恐怖に感じさせる。

「亜美ちゃん、どうしよう。おしっこしたくなっちゃった」

15分ほど歩みを進めたところで、綾音が排泄欲を訴えた。当然近くにトイレはない。

「そこらへんでしてきたら?」

「そんな!?トイレじゃないのにできないよ」

おしっこをすることが恥ずかしいという認識がまだなかった亜美は簡単に言うが、綾音はそれができなかった。
林道を引き返すふたり。
歩みを進めると、公園に設置されている金網フェンスが視界に映った。

“もうすぐだ”そう思ったその時だった。

「バサバサバサバサっ」

突如としてふたりの真横から聞こえてきた大きな物音。
正体は野良猫だった。
だが、その野良猫の放った物音は、これまで綾音が抱えていたものを放出する号砲となるには充分なものだった。

「あ、だめ、いや・・・」

綾音の履いていた短パンは、両方の裾から水流を放出すると同時に、その短パンの股間部分を色濃く染めていく。地面に打ち付けられる水流に、広がっていく染みに、そして、綾音の泣きべそに、亜美はすっかりと魅了されてしまった。
それ以来、亜美は女の子のおしっこ我慢姿に興奮するようになってしまった。
亜美自身女の子であるため、その姿を女子トイレの中で目撃することは少なくなかった。

“ひろみ、すっごいモジモジしてた~”

“くみちゃん、こっそり前押さえちゃってたよ~。バレないようにしてた~。可愛い”

同じ中学に通う女子たちの我慢姿は、いつしか亜美の夜のおともになっていた。
そんな亜美だが、あのときの綾音のおもらしが最初で最後のおもらしを目撃だった。どこかのクラスでおもらしが起きたと噂を聞けば、そのたびに悔しい気持ちとうらやましい気持ちを持っていた。

“女の子のおもらしを目撃する”というのは、亜美にとって念願のことだった。

そして、いま。

クラスの中で一番しっかり者で、頼りがいのある女の子が必死に我慢をしている。もしかしたら、おもらしをしてしまうかもしれないという期待が高まってしまう。

試験開始からわずか20分。
亜美の手はすっかり止まってしまい、一瞬の見逃しもないように全力で真美子の姿を注視していた。

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“あと・・・11分”

自分でも頑張っていると思う。

排泄欲は強烈なものとなっており、少しでも気を抜けば今にも放出してしまいそうだ。それでも試験問題とは向き合った。解答欄はすべて埋まっている。

“あと・・・10分”

何度も時計に目をやるが、自分の思っているよりも、何倍も時間の経過は遅かった。

“なんで、なんで針が進まないの!時計、壊れてるんじゃない?”

真美子は自分では平然とテストを受けている姿を演出できていると思っている。
だが、客観的に見れば、真美子の姿は誰が見てもおしっこを我慢しているとすぐにわかるほどに、体の揺れは大きくなり、組まれた足は小刻みに震えていた。
真美子の目にはすでに涙がたまっている。

“早く・・・早く終わってよ・・・。
も、もれちゃうよ”

中学生になっておもらしなんてありえないと思っていた。見かけたことはないし、聞いたこともなかった。

だが・・・・その時が来てしまった。

“あと・・7ふ・・・ん・・・・”

しゅぅぅぅぅぅぃぃぃ

“あ・・・・”

小さく口を開いた。

同時に、真美子が穿いていた下着の中に温かいものが広がった。その温もりを感じたことで、頭の中が真っ白になった。

ばちゃばちゃばちゃちゃちゃーーーーーー

教室中におしっこの滝の音が響き渡る。

真っ白になった頭では、その滝のもとになった水流を止めることができなかった。

ぴちょん・・・・ぴちょん・・・

椅子から、そして、スカートの裾からせき止められなかった真美子のおしっこが滴り、真美子の足元に広がった水たまりに波紋を広げる。

“・・・・え?・・・うそ・・・でしょ?
  私・・・我慢できなかったの?
  おしっこ・・・でちゃったの?
  え?・・・・お・・・
おもらし・・・したの?”

頭の中が整理できない。事実を受け止められない。

「か・・かわもと・・・」

先生が自分の苗字を呼んでいる。

“やめて、呼ばないで!そんな、名前呼んじゃったら、みんなにバレちゃう”

顔が熱くなってきた。

“いやだ、おもらしなんて・・・いやだ。恥ずかしい”

「みんなは時間までテスト続けて!」

担任の言葉で自分の失態をすでにクラスメイトの全員が知ったことに気が付いた。
真美子は両手で顔を覆った。

「川本、立てるか?保健室行けるか?」

いつもの低音ではなく、少し高くて優しい担任の声。

「あの、俺、もう解けるところないんで掃除します」

近くの席に座る男子生徒は進んで掃除を申し出てくれた。

「先生、私保健委員だし、その、男性よりも女の子どおしの方が良いと思うから・・・」

保健委員の女の子も、進んで同行すると言ってくれた。

「そう・・・だな。じゃぁ、お願いするよ。先生も掃除をしておくから」

女子生徒に促され、両手で顔を隠したまま真美子が席を立つ。スカートで押さえられていた椅子のうえから、おしっこが床に零れ落ちて、教室には再度滝の音が響く。その音は真美子の羞恥心をさらに強まらせた。

自分のやってしまった大失態。
指の隙間から目にした水たまりは、自分の想像するサイズよりもはるかに大きなものだった。

男子生徒も、先生も、保健委員の女の子も、自分を囲んで一言優しい言葉をくれて、保健室に送り出された。

保健室に向かって廊下を歩く真美子。
頭の中が少しずつ整理されていく。

幼稚園児のおもらしであれば、“幼い”で済む。

小学生のおもらしであれば“カッコ悪い”とか“可哀そう”で済む。

女子中学生のおもらしは・・・・

真美子に合わせてゆっくりと歩いてくれる亜美。

亜美の息遣いはゆっくりと歩くペースとは裏腹に荒く、その顔も紅潮している。

率先して掃除を申し出てくれた健一も浩平も、真美子の目ではなく水たまりや濡れたスカートをずっと眺めながら話をしていた。そして、健一は学生ズボンに、浩平はスーツのズボンに大きなテントを立てていた。

真美子は自分の身をもって、女子中学生のおもらしが性的な興奮をあおるものだと知ってしまった。

“わたし・・・もしかしたら・・・”

物があちらこちらに散らかっている男子中学生の部屋。

ぬいぐるみや花柄の家具が飾られた女子中学生の可愛い部屋。

ミニマリストで余計な物が置かれていない質素な独身男性の部屋。

いずれの部屋の中でも、その日の夜は荒い息遣いが鳴り響く。
真美子が予想した通り、真美子のおもらしをおかずとした本能活動がなされていた。

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