対称の違いと視座の違い

パンチラ(単発)小説

「ただいまぁ」

姉の光莉(ひかり)がコンビニから帰ってきた。

「はい、優斗のぶん」

コンビニのビニール袋からチョコレートのお菓子を取り出した光莉がそれを僕に差し出す。年子の姉は面倒見がよく、こうして自分のお小遣いからでも僕になにかしらのお土産を買ってきてくれることも少なくない。

「さてと・・・」

そうつぶやいた光莉は、リビングのソファーの下に腰を下ろして、買ってきたばかりのファッション雑誌を広げた。6年生になり急におしゃれに目覚めた光莉は、毎月のお小遣いのうち数百円を使って雑誌を購入するようになっていた。
雑誌を眺めているいまも、先日お母さんにおねだりして買ってもらった黒のレースっぽいスカートを履いている。ここ最近の光莉のお気に入りのスカートだ。
床に腰を下ろし、ソファーの足元を背もたれにした光莉。
そのお気に入りのスカートの中が丸見えになっている。
Tシャツのような生地のパンツは白とオレンジのボーダーだ。
いつからだろう。
女の子のパンツがエッチなものだと思うようになったのは。
女の子のパンツに目を奪われるようになったのは。
女の子のパンツが見たいと思うようになったのは。
だが、それも血のつながった姉となれば話は別だ。パンツが丸見えになってはいるが、それを凝視するようなことはないし、喜ばしいことだとも思わない。なんだったら目のやり場に困るから見えないように気を使ってほしいくらいだ。
パンツであっても、身内が穿くそれはただの衣類のひとつに過ぎなかった。

「じゃあ、行ってくるね」

光莉からもらったお菓子をほおばった僕は立ち上がり外出した。
向かったのは小学校のグランド。
僕が所属するサッカークラブの練習開始時間が迫っていた。グランドまで自転車を飛ばす。
到着後は簡単なウォーミングアップをしてパス練習、ドリブル練習をして休憩時間を迎える。
少年スポーツクラブということもあり、練習日には数人の保護者が必ずグランドに顔を出している。平日の夕方からの練習ということもあり、保護者さんが小さな妹や弟と一緒にグランドに来ることも少なくなかった。

持参したお茶を飲もうとリュックから水筒を取り出した僕の視界に女の子の姿が入った。
香澄(かすみ)ちゃんはチームのキャプテンである武蔵(むさし)君の妹で、僕の一つ下の4年生だ。香澄ちゃんは背が高く、もしかすると僕よりも年上に見えてしまうかもしれない。
そんな香澄ちゃんはサッカーに全く興味がないようで、携帯ゲーム機を持参して入り込んでいた。
僕がリュックを置いていた位置から正面の方向にある階段に腰をかけている。
デニムのスカートで階段に腰をかけてゲームにのめりこむ香澄ちゃん。
スラっとした長い脚は三角座りのように角度がつき、同時にスカートの中が丸見えとなっている。つい1時間ほど前に家の中で光莉がとっていた姿勢と同じような体勢だ。

香澄ちゃんのデニムミニのスカートの中は、真っ白なパンツだった。

光莉のパンツのようなボーダー柄のパンツではない。
香澄ちゃんのパンツは光莉の穿いていたTシャツのような素材ではなはい。
なんの模様もない真っ白なパンツは、少し厚みのあるモコモコとした素材だった。

パンツが・・・香澄ちゃんのパンツが丸見えだ。

お茶を飲みながら、ずっと香澄ちゃんのパンツを凝視していた。あんまり見続けても他の子たちから怪しまれるかもしれない。水筒をリュックに片付けてからは何度もチラチラと香澄ちゃんの方を見ていた。
よっぽどゲームに集中しているのか、香澄ちゃんはずっと真っ白なパンツが見えっ放しだった。

パンツ・・・真っ白なパンツ・・・香澄ちゃんのパンツ・・・・

「優斗、集合だって!!」

武蔵君が呼び掛けた集合の掛け声に気が付かないほどに、僕の視線は香澄ちゃんのパンツに奪われていた。

「いくらサッカーがうまくても、サッカーはチームスポーツなんだ。ボーっとしてないでちゃんとみんなと行動を合わせろよ」

武蔵君の言葉に、僕は反省をしていなかった。
ただただ、みんなに香澄ちゃんのパンツを見ていたのがバレていないか不安だった。

集合した輪の中で、僕は自分の短パンの中央が膨らんでしまっていることが心配だった。

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「武蔵~、なにボーっとしてるの?」

雲ひとつない空から太陽の日差しは昼休みの教室を明るく、そして温かいものにしていた。学校に来るのは正直、いやだった。それどころではないと思っていた。
前日のサッカーの練習で、ゲーム形式のメニューの際に、僕は衝突して足首を怪我してしまった。
だが、それ以上にまずいことが起きた。
衝突した相手が優斗だった。
優斗は自分よりもひとつ年下だがそのサッカーセンスは群を抜いていて、すでにチームのエースとなっている。
そのエースにも怪我を負わせてしまった。
僕も優斗も週末の試合には出れそうにない。
自分ひとり怪我をするくらいならまだしも、優斗にまで・・・。

「もう、どうしたの?」

普段は昼休みになるとサッカーボールをもって一目散にグランドに出る僕。珍しく教室に残っているからか、クラスメイトで隣りの席の光莉が僕に声をかけてくれた。

「いや、昨日の練習でさ・・・。
 ごめんね、光莉」

「やっぱり。そのことで悩んでたんだね。
 でも、しょうがないでしょ。優斗も
 キャプテンを怪我させちゃった』って
 気にしてたけど、練習中の怪我じゃん?
 それだけ試合に向けて真剣にやってた証拠なんじゃない?」

光莉の言葉に救われた。
怪我をさせたのは僕の方かもしれない。
そう思っていたから、優斗の姉である光莉の顔を見れないでいた。光莉からの励ましを受けて、僕はやっと光莉の顔を見ることができた。
優しい笑顔を光莉は向けてくれた。
そんな光莉には大変申し訳ないことだが、その笑顔以上に僕の視線を引き付けるものがあった。
5年生のときに初めて同じクラスになった光莉は、男勝りな性格をしていて、いつもズボン姿だった。だが、6年生になってから急に女の子らしい服装をするようになった。
今日は水色のふわっとしたスカートを履いている。そして、そのスカートのまま、僕の方を向いて椅子の上で体育座りをしている。

水色のスカートとは対極にある淡いピンクのパンツがはっきりと見えていた。

そのピンクのパンツには何かしら英語で言葉がつづられているが、学のない僕には何が掛かれているのかはわからない。でも、かわいくておしゃれなパンツだった。

「試合に出れなくてもできることはあるよ。私も優斗の応援で週末は試合を見に行く予定なんだ。みんなで一緒にチームを応援しようよ」

心が軽くなった。午後の授業は少し穏やかな心持で過ごすことができた。

「お兄ちゃんお帰り・・・・あれ?学校で何かあった?」

帰宅した僕の様子を見た妹の香澄がまっさきに声をかけてくれた。
こう言っちゃなんだが、香澄はブラコンだ。
僕のことが大好きで、サッカーの応援にもよく来てくれる。いつも僕のことを見てくれていて、ちょっとした変化にも気づく。

「いや、とくには・・・」

「ふーん、でもよかった。ずっと落ち込んでたからさ。もう大丈夫みたいだね」

僕の様子を確認し終えた香澄は、視線をローテーブルに広げた宿題に戻した。
あぐらをかいている姿勢で宿題に取り組む。香澄が履いていたショートパンツと足の隙間から真っ白なパンツがしっかりとはみ出ていた。

香澄は・・・真っ白なパンツしか穿かないからな・・・・

香澄のパンチラで興奮することはない。
それでも僕の股間はムクムクと膨らんでしまった。
香澄のパンチラを見たことで、昼休みに見ていた光莉のパンチラがフラッシュバックしていた。

おしゃれで・・・かわいいパンツだったなぁ・・・・。

香澄に気づかれないように、僕は子ども部屋にもどった。

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週末の学校のグランドでは、2つのチームにより一進一退の攻防を続ける白熱したサッカーの試合が行われていた。

1-1のまま迎えたハーフタイム。
選手たちは監督を中心にして輪を組み、後半戦の作戦を共有していた。

“俺はキャプテンなんだ。ちゃんと聞かないと”

“俺はエースなんだ。ちゃんと聞かないと”

ふたりの男の子は、ホワイトボード上のマグネットを動かしながら作戦を指示する監督の言葉に集中できないでいた。

監督の後方、約5メートルの地点。
広げられらビニールシートの上には応援に駆け付けた家族たちが座っている。
その一角に、並んで体育座りをしているふたりの女の子がいた。女の子ふたりの学年は違う。
でも下級生の方の子は背が高く、一見するとふたりは同学年のようにも見える。
ふたりは同時にスカートの中身が丸見えとなっていた。
下級生の女の子は真っ白でもこもことしたパンツを穿いていた。
上級生の女の子は水色と濃い青のギンガムチェックのパンツを穿いていた。

“ちゃんと聞かないと・・・でも・・・”

ふたりの男の子の気持ちは揺れていた。

“香澄ちゃん、今日も真っ白なパンツが丸見えだ”

“光莉、今日もおしゃれで可愛いパンツ穿いてる”

“ちゃんと聞かないと。でも・・・真っ白なのが”

“ちゃんと聞かないと。でも・・・かわいいのが”
エースである優斗は香澄の白いパンツに目を奪われ、キャプテンの武蔵は光莉のチェックパンツに目を奪われている。
優斗も武蔵も、もうひとりの女の子のパンツには一切意識は向いていない。

キャプテンとして、エースとしてそれぞれ自覚のある両者。だが、チームのことを思う気持ちと、男としての本能との間で、ふたりの男の子は板挟みになっていた。

ミーティングが終わるころ、チームの輪の中でふたりの男の子だけが、ユニフォームの短パンに大きな山をつくっていた。

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